タイトルからして犬LOVEの皆様におかれましては閲覧注意だ。今回はこの広州旅のハイライトとも言える、広州の冬の風物詩「香肉」について報告です。

さて、昼ごはんでいい感じに満腹になってしまった我々としては、夜までになんとかお腹を減らす必要があった。そんなわけでぶらぶらとホテルのある方角へと歩く。写真は上下九广场というホテルからも10分足らずで行ける場所だが、とにかく人が多い。広州の特徴、それは人がやたらめったら多いことだ。

上下九广场は広州の歌舞伎町みたいなところじゃないかと思う。その昔は広州随一の繁華街だったのが、時代と共にもっとお洒落で新しいエリアが他にできて、今は田舎から週末に出てきた若者が、都会のジャングルに打ちのめされて休息する的な。日本人にとって見るべきものは残念ながらなさそうだが、マクドナルドが二軒も営業していて、一休みにはちょうどいい。

そして夜。海珠广场駅で降り、目当ての店を探すが迷いまくる。

そしてようやくたどり着いたのが、惠福西路沿いにある阳光香肉美食家 yang2guang1xiang1rou4mei3shi2jia1。無理矢理日本語にすると陽光犬肉美食館、みたいな名前だ。道に迷ったので少し遅めの8時半頃だったが店は混んでいる。

オーダーした名牌香肉煲 ming2pai2xiang3rou4bao1 138元は は名物犬土鍋といった感じだろうか。羊土鍋98元などもあるが、ここは名物を頼まずしてどうする。コンロの左に見えているのはほうれん草二束分ぐらいの山盛りクレソンだが、後ほどこいつがいい仕事をする。鍋が登場するまでの間、サンミゲルで乾杯だ。

犬鍋到着。誰だ、右のおばさんが犬みたいとか言ってるのは。

店員さんが手伝ってくれるので迷うことはない。鍋にはあらかじめたっぷりの三枚肉と、底の方にはスープが入っていて、まずは青ネギと和えていく。犬には申し訳ないが、その肉が素晴らしく美味しい。豚肉と羊肉、もしくは牛肉を足したようで、それでいて牛肉の甘ったるい脂っこさは微塵もない。脂身にはほどよい甘みが漂う、まさに香肉という名前が相応しい。八角などが効いた鍋底のスープが肉の旨みをさらに引き立てている。味はしっかり目なのでビールが進む。

数種類の部位を入れつつ食べ進むが、最初に入っていたゼラチン質たっぷりの三枚肉の部位が一番美味しかった。誇張抜きに、これまで食べた肉の中で最も美味な肉のひとつだと思う。

つけダレもついてくるのだが、スープだけで十分楽しめた記憶がある。

犬肉とスープの旨味を吸ってくったりとしたクレソンが絶品だ。山盛りあったクレソンもペロリと平らげてしまう。

締めは面だ。この細麺もスープの旨味を吸って美味しいのだが、さすがに食べ過ぎた。実はこの阳光香肉美食家、中国旅行の師ともいうべき酒徒先生のブログによると本店があって、さらに美味しいのだそうだが、残念ながらまだ我々は行けてない。

それどころか2014年の年末に行ってみると、店は跡形もなく消えていた。大众点评にも本店もろとも閉店とある。最近は犬食文化に抗議する人々のニュースをしばしば目にするようになっていたから、広州のような大都市ではもはや犬鍋禁止というお達しが出た可能性も否定できない。2009年に初めて広州を訪れた時、茘湾区(今回泊まったホテルの周り)のあちこちで、夜、煙を上げて営業する屋台を見かけた。屋台には小さな登りや看板に「狗(犬)」の文字。思えば今回は、そんな風景にも出会っていない。急速にグローバル化する中国の一面がこんなところにも表れているのかもしれないです。写真は阳光香肉美食家の帰りに通りがかった別の犬鍋の店。